曇ってる日はどこかくすんでる。
私の白いワンピースは、
何故だか枯れかけの薔薇に負けて見えた。
どうしたのって君が言う。
低い薔薇の木々が規則的に並んでて、
違和感を覚える。
家はすぐそこなのに、迷子みたい。
いつものように追いかけっこしても、
どうしてかおかしな感じ。
あのねって私が言う。
うまく言葉にできなくて、
結局何も言えなかった。
心の底で、もやもやの答えが出ない。
少しだけ、どくんどくんと言ってる。
濃いピンクだね。
一つだけ艶やかな薔薇を指して言った。
本当だ。
君が近づいて笑った。
何故かわかった。
答えに気付いて、私は呆然とした。
家に持って帰ろうかな。
勝手にとっちゃ怒られるかな。
そう言いながら花びらを撫でる君が、
誰だかわからなくなってしまいそうだった。
好きな女の子がいるんだね。
頭の中はそれだけだった。
すごく、どくんどくんと言ってる。
一気に押し寄せた何かで、見えなくなってしまった。
君は、どこに居るの?