きみをリゲルと名づけた日、ぼくはしあわせだったんだ。リゲル。これからはそう呼ぶね。寝るときはずっと一緒にいる。きみをぼくの上におくとね、すごく安心するんだ。どうしてかな。
雨が降った。リゲルも感じている?空も建物も灰色に染まって、大粒の雨が窓を叩きつけている。こんな雨がぼくは好きだ。リゲルはどう?いつか一緒に外へ出ようか、大丈夫、きみはぬらさないように抱きしめているから安心してね。


リゲル、きみとならぼくはなんだってやり過ごせる気がするんだ。もしも雷が鳴って、いかづちの嵐の中にいても、落雷に絶対あたらない。傘が飛んでいって、木々が暴れていて、空と地面がよく見えなくなって、胸が苦しくなっても、ぼくはきっとだいじょうぶだ。


きみを抱きしめると、とてもあたたかいね。どこか遠い国で作られたきみのかおは、少しいびつで、歪んでいる。だけどそんなきみが、ぼくのきみなんだ。ぼくだけのきみで、他の似たようなやつらと換えられてしまったら、きみじゃないし、おそらくきみのぼくではなくなる。
そんなことは、絶対にいやだ…。


リゲル、そこにいる?
きみがすきなんだ。