知らない話をした
きみが
そっとなぞる
水平線


淡い青
柔らかい
横顔、


わたしは
きっとまだ
きみを
何も知らない


遠いエメラルド
その中には
何が隠されていて


きれいな羊水
あの中には
何が隠されていたの


綺麗に笑う
きみはまだ、
わたしを
何も知らない





-




呼ばれた名前は
ぼくのものだった
きみがそう
呼んでくれるから
きっと今ここに
ぼくがいるんだ
って思うことを
しあわせだと
感じてもいい、
晴れてる日に
泣いてみてもいい、
陽だまりの温度
ぼくを壊さないで
正直でいられない
ぼくを放さないで
どうかすべてが
そこにあるままで
ここにあるままで




-




ぬるくて
きれいな水の色
透明だから
きみがよく見える


日がさして
きれいなひかり
ゆれるたびに
きみを照らしてる


ふいにきみが
何かを言った
空気がこぼれるだけで
聞こえない


何と言ったの
聞きたかったけど
酸素が苦しくて
手を伸ばす


なのに
きみは微笑むだけで
あとはゆっくり
目をつむった




-




そんなこと言うから
頭が回らない
叫んでもいいかい
理解できない言葉で
切ない
切ない
誰かそばにいて
僕のことを知って
まぶたがふるえる
声が消えていく
心の宇宙で
星がふるえる
いつか爆発が始まって
輝きは増していく


いつかきみが話した
大切なことばを
僕もきっと
誰かに話そう
そう思っていないと
そう思っていないと
宇宙に飲まれて
消えてゆくだけ




-




きらきらした
小さなひかり
黒群青の
移りゆき


隠された
すきま


今、わたしが
わたしを感じる
それだけの
真実


きみの生命を
確かめたくなる


生きている
真実




-




あのとき
きみの望むとおりに
してあげられたのに


壊してって言うきみが
まだ美しかったので


とても美しかったので


めちゃくちゃにして
あげられなかった


ごめんね




-




ほんとは
きみなんかいなくても
ぼくはあったかいし
たのしいゆめだってみるし
おおわらいだってするし
えんぴつのしんだって
おれないし
かえりみちだって
みじかいし
オリオンざだって
よくみえるから
へいきなのにね。


へいきなのにね、




-




きみが描く星座のなかに
ぼくを隠してください
まだ淡いグラデーションに
かまわず白い指先で
あどけない笑みのまま
なぞる直線に
見とれてしまうんだ


ためらわない
その指先がすきです
きっときみは
何も考えてはいないけど


きみの星座にいられれば
ぼくはそれでいいから


きみがそのままでいれば
それだけでいい





-




きみのブランケット
あの日のまま


あの日からきみは
どこへいったの


陽だまりのぬくもりに
溶けてしまうよ
きみのこころが
やわらかいまま


きみの残像と
朝まですごしたって


きみがわからない


そしてぼくはいつまで
このままでいるつもりなんだろう